片桐逸子さん
ホテル ハウスサンアントン
片桐逸子さん
野沢温泉村の大湯通り沿いにある欧風プチホテル「ホテル ハウスサンアントン」とお土産処「福田屋」。
一度訪れたら以降通い続ける人が多いというこのホテルの良さやサンアントンオリジナルのお土産、そしてオーナー夫人である片桐逸子さんの魅力を探りにお話を聞きました。
ホテル ハウスサンアントンを始めたきっかけは?
20代前半にヨーロッパの文化などを勉強しにオーストリアで3年近く過ごしたのですが、その時にお世話になったファミリーのお母さんに多くの影響を受けました。
その時の生活を例えるなら、「ウルルン滞在記、超ロングバージョン」ですね。
その人は「身体に良いもの・優しいもの、何より美味しく」をモットーに、自分で育てた野菜や果物、家畜を使って調理をしたり、パンやパスタ、ピザ、ケーキやパイなども生地から、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、スープ等も、すべてゼロから作る。
それは「食」の部分だけではなく、「衣」「住」でもその考えが浸透していたんです。
着る物や生活で使われる物はもちろん、家までご夫婦の手作りだったんですね。
そのライフスタイルに共鳴し、彼女から多くの事を勉強し、その家のお父さんの仕事の関係で毎週末劇場で、オペラ、バレエ、オーケストラ等世界最高の芸術にも触れさせてもらいした。
主人とは留学先で出会ったのですが、主人は当時スキーヤーとしてオーストリアに高校から留学していてました。
帰国後は、主人の生まれ育った野沢温泉村で小さなホテル(欧風民宿)をやろうと決意し、1981年にホテル ハウスサンアントンをオープンしました。
それは義父と主人の夢でもありました。
サンアントンはどんなホテルですか?
来ていただいたお客様からは、「とてもリラックスできた!元気をもらった!」と言われます。
主人がどちらかといえばおおらかで穏やか、私はすごく元気だから、私たちの雰囲気がホテルの印象になっているみたいです。
でも、私だけでなくお客様もみんな元気!特にバーカウンターでは深夜まで話に花が咲くことも多いので、すごく楽しい時間が過ごせます。
サンアントンの料理も好評で、素材から吟味し「身体に優しく美味しい」料理を考えお出ししています。
シェフの最近のこだわりは野菜とお花育てです。
あと客室は全部で20室ありますが、お部屋の内装がすべて違うんです。
木のぬくもりを感じられる欧風のお部屋なので、ゆっくりくつろげると思います。
どんなお客様が訪れますか?
「サンアントンが大好き」といって毎年必ず訪れて下さる人が多いです。
また私たちスタッフは英語、ドイツ語、スペイン語が話せるのと、冬期は外国人スタッフもいるので、外国人のお客様も多く訪れます。
ホテルの雰囲気も欧風なので、さながら外国にいるような雰囲気を味わえることもありますよ。
あとは有名なスキー選手、アスリート、ジャズミュージシャンも訪れます。そんな事もあって毎年冬のどこかでジャズウィークを設けています。
サンアントン・オリジナルのジャムやジュースを作り始めたわけを教えてください。
私が嫁いだ当時の土産品というのは、添加物や着色料が入っているものがとても多かったんです。
もともと私がアトピー体質だったので、そういった事にはとても意識して食選びをしていたので、当時の土産品に愕然としたんです。
ならば、自分が満足してお客様も喜んでくれるものを作ろうと考えました。
その時にふと思い浮かんだのが、長野で生産されるさまざまな果物。これをもっと活かしたいと考え試行錯誤した結果誕生したのが、無添加の旬の生ジャムや100%ジュースなんです。
これらは宿泊された方にも提供しているんですが、本当に好評です。気に入ってまとめ買いされる方も多く、時間をかけて作っている分喜んでもらうと幸せですよね。
ジャムやジュースはホームページからも購入できるんですよね。
そうなんです。
その年の気候やフルーツの出来で味も香りも違うという、ワインのような製法でひとつ一つ手作業で作っています。
そのため大量生産はせず、全て限定生産となっています。
サンアントンオリジナルのジャムやジュースはこちらから購入できます。
→http://stanton.shop-pro.jp/
ホテル業をしていて良かったと思うとき
やっぱりお客様より心から「ありがとう!」と言って喜んでいただけると、忙しくて大変でも本当に元気になりますよね。
こういう気持ちって、どんな仕事にも共通していると思いますが、そう一度言ってもらうと、次はもっと喜んでいただこうという気持ちになるんです。
なので、ホテル業はすごく素敵な仕事だなと日々実感しながら努めています。
野沢温泉って、どんな所?
野沢温泉を紹介するときに「人も湯も温かい」と使うのですが、実際は「人もお湯も熱すぎる!」ですね。本当にハートが熱い人が多いんです。
近頃はお隣さんとの交流すら無いという地域も多いと思うんですが、野沢温泉はみんなが人や地域を守っています。
だから野沢で生まれ育った子供は本当に良い子に育つんですよ。そして子供達みんな「野沢が大好き!」って言うんですよね。
野沢に対するみんなの愛が、野沢を守っているんです。
それに野沢といえば、やはりスキーですよね。
スキーをこよなく愛する野沢温泉スキークラブの創立者たちが、雪国文化の短所を長所へと発想の転換をしたんです。
「雪国文化の開発はスキーに如かず」と、自らスキーの普及と強化育成を唱えてこれまで多くのスキーヤーを育て、スキー場発展に大きく貢献して来ました。
この小さな村で、15名のオリンピック選手が育っている事もその結果ですよね。
スキーの大好きな人々が全国トップレベルのスキー場を育てて来たと言えるのではないかと思います。
あとは、野沢には「惣」という組織があるのですが、これは現在日本で唯一の組織らしいのです。
通常、村を取り仕切るのは行政の村役場1つだと思うのですが、野沢にはそれと並んで「野沢組惣代」というのがあって、惣代の長は村長さん位、力を持っているんです。
惣代さんは野沢温泉にとって最も大切な「温泉」や「スキー場」「祭り」を司っているんです。
この惣と呼ばれた村落共同体という組織と似たものがバリ島にもあり、「スパック」といいます。
このバリ島の「スパック」と野沢組惣代の組織形態が良く似ているそうなんです。
これって全国的に知られていないけど、実はすごい事ですよね。
今後の夢
もう、いーっぱいあるんですよ。
お客様に、もっともっと喜んでいただく為にはどうしようかな?と考えていると、際限なくやりたい事が溢れてくるんです。
先ずは、うちの工房で作ったナチュラルなジャムやジュースを使ったジェラートです。
ジェラートって老若男女、国を問わず誰でも好きですよね。
地元産のこだわりフルーツを使った安心で美味しいジェラートは、きっと多くの方に喜んでいただけると思うとワクワクしますね。
それと同時に、食品加工というのは大変責任の重い御仕事ですから、実際の工房やキッチン等の現場は緊張で一杯です。
すごいピリピリする事も多いんですよ。
もう一つ、考えている事があるのですが…まだ内緒です。
何が出来るかはお楽しみにという事で。
記事協力
ホテルハウスサンアントン
- 長野県下高井郡野沢温泉大湯通り
[連絡先] TEL 0269-85-3597
[URL] http://www.nozawa.com/stanton/
記事:久保田香織
写真:小林厚士
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